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3/12/2013

文化人類学者の山口昌男さん死去

山口昌男氏が亡くなったという記事を見つけ驚いてしまいました。

「中心と周縁」「トリックスター(いたずら者)」などの文化理論で思想界に大きな影響を与えた文化人類学者で文化功労者の山口昌男氏が、10日2時24分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。81歳だった。

 北海道生まれ。東京大国史学科卒業後、東京都立大大学院で文化人類学を学ぶ。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所長、札幌大学学長などを歴 任。日本民族学会会長も務め、欧米の大学でも教えるなど国際的に活躍した。著書は大佛次郎賞を受けた「『敗者』の精神史」や「道化の民俗学 (岩波現代文庫) 」「文化と両義性 (岩波現代文庫) 」など名著を多数残されてます。


3/06/2013

宗教という技法

宗教という技法―物語論的アプローチ
竹沢尚一郎
1992、勁草書房

やっと入手することができた書籍です。竹沢氏なので間違いないと思ってたんですけど、やっぱりよかった。


行為と語り。この二つが宗教を構成する重要なファクターであること。著者はこの著作の前に「象徴と権力」という名著を出している。この著作が行為の側面から宗教を分析したのに対して、この「宗教という技法」では語りの側面から宗教を分析している。
まず社会的経験としての物語からレヴィ=ストロースの神話論を概観し、日本神話への適応を試みている。
それから宗教人類学の視点から古代天皇制へとすすみ、生業の宗教から憑依の宗教へと議論を展開している。
最近では神話研究はあまり宗教学の分野では見られないが、やはり神話は避けては通れない主題の一つである。
そのように考えるとこの著書は自分自身のフィールドへの引きつける方法論なども参考になる良い文献だと思います。

2/27/2013

文化人類学者の岩田慶治氏が死去


岩田慶治先生が亡くなったそうです。
正直まだ生きておられたのか。ということもあったのですが、やはり残念です。
東南アジア関係の人文系学問の研究では日本の第一世代だと思います。
著作も多数ある方です。

東南アジアの民族学研究を通じ、アニミズムの復権を唱えた文化 人類学者で国立民族学博物館名誉教授の岩田慶治(いわた・けいじ)氏が17日午前7時ごろ、肺炎のため京都市東山区の病院で死去した。91歳。横浜市出 身。葬儀・告別式は19日午前11時から京都市中京区上樵木町503の1、かもがわホールで。喪主は妻美代子(みよこ)さん。

 1946年、京都大学文学部卒業後、東京工業大教授などを務めた。タイ、ラオス、カンボジアなどでフィールドワークを重ね、東南アジアの少数民族を中心に社会構造、農耕儀礼、精神文化を考察。アジア的文化人類学の立場に立ち、アニミズム的世界観の復権を唱えた。

12/17/2012

祖父江孝男民博名誉教授が死去

祖父江孝男氏 86歳(そふえ・たかお=国立民族学博物館名誉教授、心理人類学)15日、虚血性心不全で死去されたそうです。


 日本民族学会長、日本生活学会長などを歴任。日本人の国民性、特に地域によるパーソナリティーの違いに着目し、風土的・歴史的背景から解明した著書「県民性」など著作は多数。

ご冥福をお祈りいたします。

11/28/2012

滋賀県の嘉田由紀子知事

最近話題の滋賀県の嘉田由紀子知事ですが、もともとは環境社会学や文化人類学の専門家です。アフリカ研究などに論文も書いてたりします。
ネットで探せば、経歴や著作は出てきますが、文系学問の専門家が政治を行うとどんなもんなんだろうかとちょっと気になります。
良いか悪いかを判断をするつもりはありませんが、興味はあります。
個人的におすすめの本をいくつかあげます。アフリカ関係はすぐに見つかりませんでしたけど、共著、編著などなど多数ありますので


4/06/2012

震災後の死生観語り合う


西日本新聞のHPに興味深い記事がありました。すでに終わったシンポジウムなんですが、下記に転載させて頂きます。
このシンポジウムは西日本宗教学会が開催したもののようで、討論者のメンバーが有名人ばかりです。情報をもっと早くにしいれていたら参加したのにな~~

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 「死者のフォークロア」と題したシンポジウムが31日、福岡市城南区の福岡大であった。東日本大震災を経た日本人の死生観について、人類学や民俗学、宗教学の専門家が語り合う形で「価値観の多様化がより鮮明になってきた」などとする意見をまとめた。
 シンポジウムは同大と西日本宗教学会の共催。元日本文化人類学会会長の波平恵美子氏が、大震災で行方不明になった家族を現在も捜し続ける遺体へのこだわりは日本人の特徴と紹介。一方、火葬場のお骨を「宅配便で自宅に送ってほしい」と、死者にこだわらない人たちが増えてきたことにも触れた。
 国際日本文化研究センターの小松和彦教授(民俗学)は、日本人が遺体や位牌(いはい)などを重視するのは、死者とともにあろうとすることの表れと分析。波平氏は「その関係が弱まれば、人間に救いようのない虚無感だけが広がる」と指摘した。
 そうならないために、九州大の関一敏教授(宗教学)は「伝統だけにとらわれず、死者との関係を救済する『何か』を作っていかなければならない」などと語った。

10/25/2011

文化人類学・学術振興の山口昌男氏(80)に文化功労者

今日のニュースで政府が文化勲章受章者と文化功労者を決定した。という記事をみました。

 そこには文化人類学・学術振興の山口昌男氏(80)の名前がありました。 

私の中ではアフリカ研究者というイメージがあったんですけど、それいがいの著作も数多くのこされている先生です。

私はもちろん面識はないのですが…

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%8F%A3%E6%98%8C%E7%94%B7

 wikiのリンクを張っておきます。

下の二冊は個人的に好きな先生の本を掲載しておきます。


12/18/2009

イスラームを学ぶ人のために

大塚和夫
1993 『イスラームを学ぶ人のために』世界思想社

この本は大塚和夫先生が編者だったのでとりあげました。
大塚先生はイスラム研究の社会人類学者だったように思います。
書評に「7世紀以来の歴史を背景に、時代や地域によって多様なムスリムの生活を見つめつつ、現代に生きる宗教=文明としてのイスラームを平明に解きあかす。」とありました。
著者のメンバーは日本のイスラム研究の有名な先生方ばかりです。

これからイスラームを勉強する訳ではないのですが、基本的なところを再確認するという意味でも読む価値は充分あるかと思います。

11/23/2009

異文化理解

青木保 2001 『異文化理解』 岩波新書

IT化、グローバリゼーションが進み、日常的な接触、交流が増大した「異文化」を理解しているのだろうか。異文化の衝突はいまなお激しく、ステレオタイプの危険性や文化の画一化がもたらす影響も無視できない。
文化人類学者としての体験や知見を平易に展開しながら、混成化する文化を見据え、真の相互理解の手がかりを探る…

タイ・バンコクで出家経験のある著者の経験や人類学者としての視点から、異文化とはどのようなものかを書いた著作です。

10/26/2009

文化人類学15の理論

 綾部恒雄『文化人類学15の理論』中公新書
 文化人類学の基本文献や理論を紹介している本は山ほどあります。
 例えば米山俊直『現代人類学を学ぶ人のために』、綾部恒雄『文化人類学15の理論』、中山敏『交換の民族誌』などなど。その中で私が一押しなのがこの本です。

 とりあえず難しい専門書や論文より「人類学っていいかも」と思わせてくれる本のような気もしますし、自分でヒットする本を探し出すための一つの指針として紹介します。

 文化人類学の本を読むと「他者理解」というワードを読むみます。
 他者理解を誠実に行おうとする自己の形成を試みることが大事みたいです。
 このワードに取り組むために、文化人類学はフィールドワークの中で他者と出会い、その出会いを民族誌などの形で表現します。
 いろいろと表現方法はありますが、まずこういった本を読むことでおざなりにしていた部分も見えてくるかと…
 人によって古い本だから…とも言われますが、お勧めです。

10/19/2009

個人的知識―脱批判哲学をめざして

 マイケル・ポラニー 1958(1985)
 『個人的知識―脱批判哲学をめざして』長尾史郎訳 ハーベスト社
 ハンガリーから逃れてアメリカに渡ったポラニーは、化学でノーベル賞候補者にまでなったらしい。
 後年はあっさり社会学者になったが、その影響力は、化学はもちろん現在の科学哲学(T.クーン等)、認知科学(J.ギブソン等)、社会科学(F.ハイエク等)にまで及んでいる。
 この著書は主観的な知と客観的な知という対立を、生命進化の原理に基づき、近代人が何かを知ることの使命にまで及んでいる。
 その「人格的知」(訳語では「個人的知識」)という概念の中心にあるイメージの1つが、実はconviviality(懇親性)というイメージが浮かぶ。
 とりあえずこの人は多くの人に影響を与えていることを今更いうまでもないでしょう。

10/17/2009

レヴィ=ストロース 「悲しき熱帯」

レヴィ=ストロース、C.1955=1980「悲しき熱帯」川田順造訳 中公バックス世界の名著71巻 中央公論社

 フィールドワークの臨場感たっぷりの記述。
 予想もつかない諸体系が相関しているという意外な指摘
 遥かなる視線から眺められた文化そのものを超越するような思索

 などなどです。

 現在から見れば批判の多い文献ではありますが、マリノフスキーとレヴィ=ストロースといえば文化人類学の二大巨頭ですし、この二人の思考、知識、研究態度などなどを見ると何も言えなくなります。

 翻訳をしている川田順造も日本の文化人類学では大御所です。

10/10/2009

西太平洋の遠洋航海者

マリノフスキー、B.1922=1980「西太平洋の遠洋航海者」
寺田和夫・増田義郎訳 中公バックス世界の名著71巻 中央公論社


 言わずと知れた文化人類学の教科書と言える本。
 本書で感動できるのは、観察というより洗練された綿密な記述、異文化が自文化の何に相当するのかを考えるスタンス、西欧文化がトロブリアント諸島の文化に埋め込まれているように感じること。
 挙げればきりがありませんが、文化人類学においてフィールドワークでの記述の重要性を痛感する文献。