10/29/2009

神々の明治維新

安丸良夫 1971 『神々の明治維新』岩波新書

本の題名だけで興味津々です。
実はまだ読んでないんですけど、書評やネットで読む限りちょっとおもしろそう。

「神仏分離と廃仏毀釈を通じて、日本人の精神史に根本的といってよいほどの大転換が生まれた、と主張するものである。・・・この転換は、国際社会の力と力の闘技場へ加わろうとしたときの、一つのまだ弱小な民族の自己規定と自己統御にかかわっていた。この力の闘技場へ加わるためには、私たちの民族は、みずからの内的な弱さと不安に対応して、その弱さと不安をいっきょに代償する精神の内燃装置を必要としていた。・・・だが、そのためには、どんなに大きな飛躍と抑圧とが必要だったことだろう。伝統は、この課題にあわせて分割され、再編成された。」

など書かれていました。

う~ん…難しそう…

10/26/2009

文化人類学15の理論

 綾部恒雄『文化人類学15の理論』中公新書
 文化人類学の基本文献や理論を紹介している本は山ほどあります。
 例えば米山俊直『現代人類学を学ぶ人のために』、綾部恒雄『文化人類学15の理論』、中山敏『交換の民族誌』などなど。その中で私が一押しなのがこの本です。

 とりあえず難しい専門書や論文より「人類学っていいかも」と思わせてくれる本のような気もしますし、自分でヒットする本を探し出すための一つの指針として紹介します。

 文化人類学の本を読むと「他者理解」というワードを読むみます。
 他者理解を誠実に行おうとする自己の形成を試みることが大事みたいです。
 このワードに取り組むために、文化人類学はフィールドワークの中で他者と出会い、その出会いを民族誌などの形で表現します。
 いろいろと表現方法はありますが、まずこういった本を読むことでおざなりにしていた部分も見えてくるかと…
 人によって古い本だから…とも言われますが、お勧めです。

10/23/2009

共生の作法―会話としての正義

井上達夫1986『共生の作法―会話としての正義』 創文社
何となく、本のタイトルで読んでみました。
近年国内でも頻繁に見られる、異文化対立のような問題をどのように対応していくのか。
その理念と技法のモデルを探る文献です。
一言で言うと、「郷にいれば郷に従え」という感じです。
その時に何を根拠にどうやって介入していくのかを模索している感じがします。

フィールド調査をするときは必ず異文化に接触することになるので、その時にどのように接触するのかを体験的に考えることが出来るようにするために読むと良いかもしれません。

10/19/2009

個人的知識―脱批判哲学をめざして

 マイケル・ポラニー 1958(1985)
 『個人的知識―脱批判哲学をめざして』長尾史郎訳 ハーベスト社
 ハンガリーから逃れてアメリカに渡ったポラニーは、化学でノーベル賞候補者にまでなったらしい。
 後年はあっさり社会学者になったが、その影響力は、化学はもちろん現在の科学哲学(T.クーン等)、認知科学(J.ギブソン等)、社会科学(F.ハイエク等)にまで及んでいる。
 この著書は主観的な知と客観的な知という対立を、生命進化の原理に基づき、近代人が何かを知ることの使命にまで及んでいる。
 その「人格的知」(訳語では「個人的知識」)という概念の中心にあるイメージの1つが、実はconviviality(懇親性)というイメージが浮かぶ。
 とりあえずこの人は多くの人に影響を与えていることを今更いうまでもないでしょう。

10/17/2009

レヴィ=ストロース 「悲しき熱帯」

レヴィ=ストロース、C.1955=1980「悲しき熱帯」川田順造訳 中公バックス世界の名著71巻 中央公論社

 フィールドワークの臨場感たっぷりの記述。
 予想もつかない諸体系が相関しているという意外な指摘
 遥かなる視線から眺められた文化そのものを超越するような思索

 などなどです。

 現在から見れば批判の多い文献ではありますが、マリノフスキーとレヴィ=ストロースといえば文化人類学の二大巨頭ですし、この二人の思考、知識、研究態度などなどを見ると何も言えなくなります。

 翻訳をしている川田順造も日本の文化人類学では大御所です。