6/15/2010

柿崎一郎 「物語 タイの歴史」

最近はタイの情勢も落ち着きつつあるみたいなので、タイの文献について書きます。

この方はそれほど有名じゃないかもしれません。私が存じ上げないので…

この本を読むとタクシン政権時にクーデターが起きた2006年9月19日にバンコクにいたそうです。(ちなみに私もいました)

そんなことからタイ族の南下前から2007年の新政権成立までを書いています。

特に新しいことを書いているわけではないように思いますけど、久しぶりにタイの政治の複雑な局面が現れた時代ですので、興味がある人には良いかもしれませんね。

詳しいレビューは

http://d.hatena.ne.jp/matsuiism/20100516/p1

にありましたので、購入前に読むと良いかもしれません。

6/04/2010

大林太良

最近神話学を勉強する機会がありまして少し大林太良先生の文献を読むことにしました。文献も結構あるので、どうしたもんかと頭を抱えているところではあるんですけど、神話学というのは無限にあるんじゃないか?ていうぐらい膨大にありますから、その中の一端を見るということで少し書きます。

大林先生は比較神話学から出発して、日本の神話をアジア諸国の神話と比較しつつ、神話には伝播説と普遍心性説とがある。みたいな感じです。


入門書なんかも書いてますし、人類学では結構名門どころを出ている人です。

5/15/2010

The Encyclopedia of Religion, 2nd Edition, Macmillan Reference

 エリアーデ監修
 宗教百科事典 第2版。

 1988年に刊行され、宗教(学・史)に関する参考図書では金字塔というか権威本というか重要図書です。

 そのエリアーデの宗教百科の第2版が出版されています。世界各国から招かれた2000人の研究者・寄稿者によってオリジナル第1版の2750の項目が最新の情報、統計を盛り込んで、書き改められ、新たに約600の項目が追加されたという話です。

 一つ一つ異なった宗教の特性や日常 生活におけるの宗教の役割を重視しつつ、文化を超えて編集されたエリアーデ宗教百科第2版は、21世紀の基本文献として、宗教に関わる、歴史、文化、社会の研究者は必読です。

 全巻で日本円で30万円前後するみたいなので個人所有は難しそうです…

 ただ英語ですし、一つの項目が「論文??」ていうぐらい長いので、読むのは大変そうです。

 ただやはり基本中の基本というか、宗教に関係する分野を研究するなら避けては通れないと思いますので、参考までに。
 
 ただ最近ふと思うのは、論文にはあまり参考文献で上がってないような気もします。内容はそんなになのかな~~

5/14/2010

現象学的社会学

ゴッフマンの理論的根拠になったシュッツ社会学をまとめた本です。
内容は簡単に説明すると「日常世界」に対し、どのような見方を行っているか、その様相を哲学的に分析したもの。という感じです。

一般的に述べるなら、集団Aにとっての自然な世界観の内には、何らかのステロタイプ化された集団Bの自然な世界観のみではなく、集団Bが集団Aを眺めているであろう仕方のステロタイプも含まれているのである。(46ページ)

などなど類型、知識とのダイナミズムなんかが書かれています。社会学の文献という枠よりももっと広い人文系学問に共通する主題が含まれているように思えます。

こういう良い文献はやっぱり原文を読まないといけないんでしょうけど、難しいですね。せめて日本語ではきちんと読み込めるようにならねば…

5/10/2010

石井米雄先生

(asahi.comから転載しました)

 石井 米雄さん(いしい・よねお=京都大名誉教授、元人間文化研究機構長)が2月12日、肝不全でお亡くなりになりました。
 というか知ったのは最近でした。
 80歳だったそうです。
 タイを中心とする東南アジア大陸部の歴史や仏教の研究がご専門で、「上座部仏教の政治社会学」、「タイ近世史研究序説」など著書は本当にたくさんあります。
 2000年に文化功労者に選ばれたりもしています。
 東南アジア学会の創立時からの会員で本当に多くの論文、研究ノートがあり、東南アジア研究の本当の草分け的存在でした。語学も天才的で海外の研究者から「何語がしゃべれないのか?」と聞かれたという話もあるそうです。
 だんだんと偉大な研究者の人たちがお亡くなりになっていると思うと寂しいものです。